ドリム工法とは
DRIM(Distorted RIpple Mat)は、海底にできる砂れんをSINカーブで近似し、人工的に一方向に歪ませた形状(歪み砂れん)をブロック化し、並べたものです。
下の図のように、波の通過に伴ってDRIM上で生じる非対称な過運動が正味の底層流を一方向に向ける現象を利用して漂砂の方向を制御します。さらに、渦がDRIM峰線に直角な方向に回転する特性により、波の進行方向によらずDRIMの設置方向に漂砂の向きを制御できます。
DRIMによる漂砂方向制御の原理
DRIM工法の6つの利点
任意方向の漂砂制御
波の力を利用するので、人為的にエネルギーを与えることなく設置した向きに漂砂方向を制御できます。
景観の保全
来襲する波の特性はほとんど変化せずブロックが水面上に出ないので、水平線や海岸線の形を破壊することはありません。
広範囲の海浜変形制御
設置範囲周辺の地形変化の影響は、やがて周囲の広い範囲に及びます。この現象により、少ない設置面積で広範囲の海浜変形制御ができます。
周辺環境との高い調和
通常、海底にできる自然の砂れんの形、大きさを基に作られています。したがって、周辺環境に与えるインパクトはとても小さいものです。
幅広い応用性と低いコスト
製作、施工ともに安価かつ迅速に行え、低コストです。設置の容易さは幅広い応用性を、移設の容易さは施工計画に柔軟性をもたらします。
利用環境の保全
底面からの高さは50cm程度です。原則として沖浜帯に設置されますので、船舶の航行やマリンレンジャーに影響を与えません。
DRIM工法の適用例
海岸侵食対策
養浜砂流出対策
岸側へ漂砂制御することで、養浜砂が沖側へ流出することを防ぎます。
沿岸漂砂制御
波向きに対して漂砂制御方向を傾けることで正味の沿岸漂砂制量を減少させ、汀線後退速度を遅くします。
堆砂対策
河口埋没対策
河口部の底質を沖側へ輸送します。
航路埋没対策
航路内への底質の流入を防ぎます。
魚礁の集魚効果
漂砂や浮泥の侵入を防止することで自然石は生物の住処に変身します。